「病院は長居させてくれない」はホント?

診療報酬は段階的に下げられる

前記事で紹介したように、例えば脳梗塞で「回復期リハビリテーション病院」に入院した場合の入院期間は150日以内。大腿骨頚部骨折などで入院した場合は、それよりぐっと短い90日以内です。

一方、最初に入院することが多い「急性期病院」は具体的な入院期間が定められているわけではありません。けれども、病院側から見ると、入院して最初の2週間は高い診療報酬がつくのですが、段階的に下げられ、30日を超えると加算がなくなる仕組みになっています。そのため、比較的早期の退院が一般的になっています。

90日を超えると退院・転院になるのは…

また、「入院期間は最長3ヶ月」ともよく聞きますが、これにも理由があります。

診療報酬には「出来高払い」と「包括払い」があります。「出来高払い」は、ファミリーレストランで「ハンバーク1、ナポリタン1,コーヒー2」というように単純に足し算で支払うスタイルをいいます。一方、「包括払い」とは食べ飲み放題。いくら食べても飲んでも1人2000円といった料金設定です。

日本の医療費用は、「出来高払い」が基本ですが、入院に関しては「包括払い」が主流となりつつあります。投薬や点滴、検査などをどれだけやっても病院の受け取る総額は変わらない、というスタイルで「まるめ」とも呼ばれます。一般病院でも90日を超えた感謝は「まるめ」となるため、病院側としては長居を歓迎しないという結果になるわけです。過剰診療が抑えられる一方、厳しい現状を招いている側面でもあります。

病院で亡くなることが難しい時代

高齢者の死因第1位はがんです。Aさんの母親(80代)も、がんと診断されました。ひどい貧血で病院に搬送されたときは、すでにあちこちに転移。わずか1週間で退院を促されました。起き上がるのもやっとの状態で、母親は「先生は私のことを見捨てた」と泣きましたが、結論は翻りません。治療は困難と判断されたのです。その後、母親は在宅で亡くなりました。

人口動態統計によると、日本の2014年の死亡者数は約127万人。そのうち、医療機関で亡くなった人が8割。1976年に「医療機関での死亡」が「自宅での死亡」を逆転して以来、その割合は増加し続けてきました。しかし、2030年には年間死亡者数が161万人に上ると予想されています。34万人の増加。このままでは、都市部の病院のベッドは高齢者であふれ返ることに……。国は高齢者の病院死を減らして、在宅や施設での死にシフトしていく方向に進めています。

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