
「こんな状態で退院?」と頭を抱えたら
近年、短期間で退院を迫られるケースが増えています。親が入院した場合にも、早い段階で医師や看護師から「退院」の話が出てくることが通常です。「えっ、こんな状態で退院して、これからどうするの!?」と悲鳴をあげる家族に出会うことが往々にしてあります。
「家に戻っても、親は一人暮らし……」「親と同居しているけれど、自分は日中仕事に出るため、親は一人になってします……」「親は夫婦二人暮らしだけど、このままでは共倒れになる……」
病院側に都合があるように、家族の側にも都合があります。結果、当事者である親本人が不自由な思いをすることが想定され、頭を抱えてしまいます。転院できる病院はあるのだろうか……。それとも施設は?
「医療ソーシャルワーカー」に相談
初めての入院であれば、退院後のことに限らず、入院費用のことや、入院生活上のことでも不安がいろいろ出てくると考えられます。
誰に相談すればいいか分からない、相談しにくい、どのタイミングで聞けばよいか分からない……。
そのようなときに相談にのってくれるのが、「医療ソーシャルワーカー」という職種の相談員です。Medical Social Worker (メディカル・ソーシャル・ワーカー)を略して「MSW」といったり、広い意味で「ケースワーカー」と呼ばれたりもしています。
必須の資格はありませんが、多くは社会福祉系大学等の専門教育を修了した者で、病院によっては社会福祉士・精神保健福祉士等の国家資格取得者に限定して採用しているところもあります。ある程度の規模の病院では、「医療相談室」や「総合相談室」「地域医療連携室」と呼ばれる部門を設けており、そちらに在籍しています。
医療ソーシャルワーカーは、本人はもちろん家族にも対応するので、困ったことがあったら相談しましょう。相談費用はかかりません。そうした専門職種がいない病院では、遠慮せず医師や看護師に相談すればいいでしょう。
医療ソーシャルワーカーは本人、家族のこんな悩みに答えてくれる!
- 入院や外来にともなる医療費について知りたい
- 他の病院や施設の情報をしりたい
- 入院中の洗濯や身の回りの世話で困っている
- 退院後の療養生活の準備をしたい
- 退院後の介護について不安がある
- 患者会や家族会のことを知りたい
- 介護保険制度のサービスの内容や活用方法について知りたい
- 障害者手帳や障害年金の手続きについて知りたい
- 病院設備や職員の対応、個人情報保護に、不満・疑問がある
病院内の医療相談室、総合相談室、地域医療連携室などで相談しましょう。