介護費用節約その5:遺族年金・生活保護・介護休業給付金を活用しよう。

父親が死亡。母親の生活費・介護費は大丈夫?

母親が1人になった場合の「生活費」を想定

今は両親が存命でも、いずれどちらかが亡くなることが想定されます。今の親世代は母親のほうが年下で、しかも女性のほうが長寿ということもあり、父親が先に亡くなるパターンが多いと言えます。

多くの場合、両親は生計を一にしており、2人の年金で生活しています。しかし、父親が亡くなれば、年金は母親の分だけに。とはいえ、1人になったからといって、必要な生活費が半分になるわけではありません。

年金額は、現役時代の働き方やその期間、報酬額等により違いますが、両親が揃っている場合と、母親が1人になった場合に得る年金額の例を以下に示しました。

父親が会社員だった場合は遺族厚生年金がありますが減額は大きく、自営業だった場合にはそもそも遺族年金という考え方はありません。預貯金や年金以外の収入がなければ、医療・介護費用どころか生活費に関しても不足することが予想されます。

父親死亡後に母親が受け取れる年金額の例(月額)

現役時代の働き方:両親共働き(父:会社員 母:会社員)

  • 父親存命中は2人で30万円
  • 父親他界後は、厚生年金+遺族厚生年金=約15万円

現役時代の働き方:両親共働き(父:自営業者 母:自営業者)

  • 父親存命中は2人で13万円
  • 父親他界後は、国民年金のみ=6.5万円

現役時代の働き方:父親のみ働いていた(父:会社員 母:専業主婦)

  • 父親存命中は2人で22万円
  • 父親他界後は、厚生年金+遺族厚生年金=約13万円

現役時代の働き方:両親共働き(父:自営業者 母:専業主婦)

  • 父親存命中は2人で13万円
  • 父親他界後は、国民年金のみ=6.5万円

*現役時代の働き方によって年金の受取額は変わります。上記はあくまで例なので、ご注意ください。

両親それぞれの介護方法を考える

例えば、父親を施設で介護していたようなケースで、父親の死後、次は母親を施設介護しようと考えるかもしれません。しかし、父親の時には施設費用を両親の年金でまかなえたが、母親1人になるとまかなえないという可能性も出てきます。

多くの場合、親が1人になれば使える年金は減ることを想定し、介護方法を考えなければなりません。どうしても足りなくなってしまう場合は、残された親の介護費用を、子が負担するケースも出てくるでしょう。

生活保護で医療・介護費は大幅軽減される?

セーフティーネットとしての生活保護

親の年金収入がごくわずかで、預貯金もほとんどないようなケースがあります。何とか仕送りをして親の生計を支えていたような場合でも、必ずしもそれを継続できるとは限りません。例えば、子がリストラされたり、定年退職を迎えて月々の収入が激減してしまうことも考えられます。

そのような場合は、思いつめる前に親への「生活保護」の申請を検討しましょう。「生活保護」とは、生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護をし、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助けることを目的としています。相談・申請は、親の暮らす自治体の福祉事務所に行います。本人か家族が申請します。

相談に行けば、「あなたが親の世話をしなさい」と言われるのでは……と不安でしょうか。確かに、担当者によってはそういう言い方をするかもしれませんが、しっかり実情を説明しましょう。実際、親の生活保護を申請している子は大勢います。事実、厚生労働省出典の2015年6月分概数によると、生活保護受給者の49.2%、約半数が高齢者となっています。

申請が通ると、子のところに「金銭的援助ができませんか?」と問い合わせが来ます。難しい場合は、再度事情を伝えます。確かに、子は親に対して扶養義務を負っていますが、それは未成年の子を監護教育する義務とは異なり、自分たちの生活を維持した上で、かつ親の面倒をみるだけのゆとりがある場合に発生するものです。自分たちの生活を犠牲にしてまで、親の経済的支援をすることは求められていません。

医療や介護の費用は大幅軽減

生活保護で保障されるのは、月々の生活費だけではありません。例えば、医療費は、福祉事務所に相談すれば「医療券」が発行され、持参すれば医療費は免除されます。また、介護費用も扶助対象となっています。月々にかかる費用は大幅に軽減されることになります。

生活保護で受けられる8つの扶助

  1. 生活扶助: 飲食費、水道光熱費など
  2. 住宅扶助: 家賃、住居補修費など。定められた範囲内で実費を支給
  3. 教育扶助: 子どもが教育を受けるための扶助
  4. 医療扶助: 費用の本人負担なし
  5. 介護扶助: 要支援・要介護と認定され、生活が困窮している人への扶助。費用の本人負担なし
  6. 出産扶助: 出産時に現金で支給
  7. 生業扶助: 就労準備のための扶助
  8. 葬祭扶助: 葬祭に必要な費用を、定められた範囲内で実費を支給

介護で仕事を休んだ場合にもらえるお金とは?

賃金の40%が支給される

以前にも紹介した通り、介護を行う労働者が介護で仕事を休める制度があります。「介護休業制度」です。大手企業では法定以上に休業期間を伸ばしているところもありますが、法律では、対象となる家族1人につき、常時介護が必要な状態となるたびに1回、最大で93日取ることが出来ます。

休業期間の賃金については、法律での定めがないため、多くの会社で無休となっています。ただし、雇用保険から、「介護休業給付金」として賃金の40%が支給されます。原則、対象家族1人の介護につき1回の支給ですが、1回めの介護休業が93日以内に終了し、その後、対象家族の病状が悪化するなど変化が生じて、2回目の介護休業を取得した時は、通算93日に達するまで再び受給できます。

介護休業給付金の支給対象者

対象となるのは65歳未満で、雇用保険の一般被保険者の人(週20時間以上働く人)が家族を介護するための休業をし、介護休業開始前2年間(正当な理由なら最長4年間)に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上ある場合です。

65歳以上の人が介護休業をした場合は、介護休業給付金の支給対象になりません(高年齢継続被保険者なので)。

介護される家族の範囲ですが、配偶者(内縁含む)、父母(義父母含む)は、同居か否かに関わらず対象となります。また、介護休業取得者本人の祖父母、兄弟、姉妹、孫については、同居し、扶養していれば対象となります。

介護休業給付の基本的な流れ

介護休業給付の条件

負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を介護するための休業であること。

介護を必要とする状態にある家族とは?

  • 被保険者の配偶者、父母、子、配偶者の父母
  • 被保険者が同居かつ扶養している、祖父母、兄弟姉妹、孫

介護休業給付金の基本的な流れ

  1. 介護休業開始(介護給付スタート)
  2. 3ヶ月(93日)以内に介護休業終了
  3. 事業主からハローワークに、受給資格確認申請支給申請(全期間分一括申請)
  4. 支給(不支給)決定し、支給決定通知書交付
  5. 支給決定日から約1週間後に指定金融期間に振り込み

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